院長の独り言
痛み止めの種類
痛みはとても辛い症状です。
膝が痛い、胃が痛い、肩が痛いなど痛みの起こる場所は様々です。
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一般に、痛みの種類には2種類あります。一つ目は、筋肉や関節などの痛みです。関節などが腫れたり、筋肉が凝って痛くなる場合などです。二つ目は、胃腸などの管の内臓の痛みです。胃の痛みや尿管結石などの痛みです。
私たち医師の間では、筋肉や関節などの痛みの場合、痛み止めとして消炎鎮痛剤を良く使います。筋肉が凝って痛みが出ている場合は、筋肉の緊張をゆるめる薬を使う場合もあります。一方、胃腸などの痛みを止めるには、管のけいれんをとる沈痙剤(ちんけいざい)を用います。一般的に胃腸や尿管など管の内臓の痛みは、管のけいれんでおこる場合が多いからです。
消炎鎮痛剤を服用すると胃に負担がかかりますので、胃腸が痛い時に間違って消炎鎮痛剤を飲まないように注意してください。
ご不安の方は、痛み止めの使い方についてご相談ください。
ショックとは?
『ショック』という言葉は日常よく使いますね。日本語に訳すと『衝撃』とでもなるのでしょうか。
しかし医学の上で使う場合は少々意味合いが違って、大変な事を言うのです。
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医学の上で使う『ショック』とは、血液の循環がうまくいかなくなり、体の細胞が酸素不足になっている状態の事です。この状態を放置しておくと、体の隅々の細胞の働きが悪くなり、臓器の障害が起こって死亡するという経過をとります。
『ショック』になる場合は、大量の出血や心臓の働きが弱まったり、細菌やその毒素が体の中にまわったり、アレルギーなどによって起こります。顔面蒼白になり、血圧が下がり、脈が弱くなり、意識がもうろうとなり、尿が出なくなったり、いろいろな体の反応が起こります。
『ショック』は救急治療が必要な状態です。もしも、道ばたでこんな症状の人がいたら、すぐに救急車を呼んでください。
風邪の時は?《後半》
風邪の時の発熱は辛い症状ですね。
発熱すると倦怠感や関節痛、食欲低下などが伴いやすいです。
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風邪の時の発熱は、体が病原体に対して増殖を抑えようとする反応の一つです。熱が悪さをしているわけではありません。
解熱剤を使うとそのときは熱が下がりますが、効果が切れるとまた熱が上がるのは体の中に病原体が残っているからです。解熱剤を使用しすぎると、病原体の増殖を抑える反応を弱めてしまうので、逆に風邪が長引いてしまうことさえあります。熱が出た場合は、暖かくして水分を十分にとり休養をとることが大切です。解熱剤を使って熱を無理矢理下げて無理をするのは禁物です。
医者の私でも、風邪の時には時間があれば横になり、遅くても夜9時には布団に入ります。私の場合は、悪寒がなくて体があつい時は首の後ろにアイスノンをあてて寝ています。私はここ最近は解熱剤を使ったことはありません。でも、熱性けいれんの既往のある子や消耗しやすい病気を持っている子の場合は、座薬などで熱を下げる必要があることがありますので注意が必要です。
水分の取り方に関して、家庭で簡単に作れる飲料水をお教えします。結構便利です。熱の時などに飲むと結構おいしく飲めます。かなり甘めなので、糖尿病などの持病がある人はご相談ください。
~おうちで簡単!経口補水液レシピ♪~
<材料>
・水 500~600㎖
・塩 ふたつまみ
・砂糖 約大さじ3~4(手のひらでひと掬い)
・お好きな柑橘類 1個
※ 柑橘類はレモンでもみかんでも可
<作り方>
1.材料の水に塩と砂糖を溶かす
2.柑橘を搾って混ぜたら、完成!
風邪の時は?《前半》
風邪をひいたことのない人はめったにいないと思います。
咳や鼻水、喉の痛みなどの症状、さらに熱が出たら辛いですね。
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風邪は、ウイルスが体に侵入して起こります。一般的には上気道炎(じょうきどうえん)といいます。風邪になったらこじらせない事が大切です。十分な休養と栄養補給が必要です。
風邪には特効薬はありません。病院や薬店でもらう風邪薬は風邪の症状を緩和する薬で、ウイルスを殺す薬ではありません。病院では風邪に伴って体力が落ちて細菌感染を起こすことが予想される場合は、抗生物質をもらうこともあるようです。
風邪を治す立役者は免疫力(いわゆる体力)です。かぜ薬ではありません。体内の白血球などの活力が高まって風邪のウイルスを撃退します。免疫力を高めるには休養と栄養補給が必要です。ですから、風邪薬を飲んで少し症状が良くなったからといって無理をすると、風邪を長引かせることになります。ちなみに、インフルエンザはいわゆる風邪ではありません(インフルエンザの場合はウイルスを直接抑える薬がいくつかあります)。高熱が出た場合は病院に行きましょう。
風邪をひいたときに出るいろいろな症状は、休養と栄養補給を促すように自分の体に教えてくれているサインです。しっかり休養をとりましょう。
かぜ薬の処方
風邪を引いた時は体がつらくて、病院に行くのも一苦労だと思います。
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病院で診察を受けて「では風邪の薬を3日分出しておきます。」と言われて、3日で治らなかった時に備えて『もうちょっと薬を出しておいてくれないかな~』と考える人も多いと思います。これは、医者がケチだからではありません。普通の風邪の見立ての場合、だいたい病気の経過を考えると3~4日で回復することが多いので、この分の処方しかしない場合が多いのです。
これ以上風邪が長引く場合は、肺炎などの別の合併症が発生していたり、他の病気の可能性があったり、療養状況が思わしくない事が多いのです。そのため、同じ薬を飲み続けることは有効でない場合があるのです。長引く時は、症状に変化があり(鼻水が咳に変わったなど)薬を変えなければならなかったり、療養状況を指導し直したり、もう少し詳しい検査が必要だったりするので、再診してもらった方が良いのです。
それに、市販の風邪薬を買っても、普通に飲んだ場合は3~4日分ですよね。市販の風邪薬にも『これで治らなければ医師にかかること』って書いてあるでしょう。