院長の独り言
アルコールのお話~②
今日は昨日と打って変わって、雨模様。肌寒いぐらいですね。
今週も引き続き、アルコールについてのお話です。
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アルコールを「絶対飲んではいけない人」がいます。
つまり『断酒』をしないといけない人です。
アルコールの制限には『節酒』・『禁酒』・『断酒』の3種類があります。『節酒』はアルコールの量や飲む頻度を減らすことです。『禁酒』は一定期間アルコールを禁止する制限法です。一方、『断酒』は『酒を絶つ』、つまり一生飲まないことです。
『断酒』しなければならない人は、アルコール依存症の人です。飲み始めたら量が増えていろいろな障害をおこしてしまい、アルコールを正しく飲むことができない人です。これはアルコールという薬物の依存になってしまっている状態です。一昔前のアルコール依存症のイメージは、いわゆる『アル中』で浮浪者的なイメージでしたが、最近では仕事を持っているアルコール依存症の人が増えています。
近頃は企業もアルコール依存症に関心を持っているようです。アルコール依存症になると、遅刻が増えたり、生産性が落ちるので企業としても放置できなくなっています。まじめにせっせと仕事をしているように見える人でも、意外と酒がやめられなくなっている人がいます。
アルコールのお話~①
今晩は、皆既月食がみられるそうです。ゆっくりと夜空を見上げてみようと思います。
今週はアルコールのお話をお届けします。
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昔から『酒は百薬の長』といって、日本人の生活に欠かせないものとなっています。仏事や祝い事では必ずといって良い程アルコールが出てきます。アルコールは適量であれば『百薬の長』になることが多いのですが、量が過ぎると良くないことが起こってきます。
アルコールの飲みすぎは肝臓に悪いと考える人が多いでしょう。しかし、アルコールの害は肝臓だけに起こるのではないのです。
アルコールでダメージを受けるのは、脳・心臓・膵臓・胃腸や食道・骨です。糖尿病や痛風になることもあります。意外と知られていませんが、脳の病気(認知症のような症状になります)や大腿骨の先端が腐る病気がおこることもあります。
日本人はアルコールに強い人種ではありません。体重60~70kgの人で、ビール大びん1本分、または日本酒1合分のアルコールを処理するのに必要な時間が、平均的に3時間かかると言われています。少なくとも週に1回の休肝日と、多くても1日に2合以内に。それと、深夜0時以降は飲まないようにしましょう。
睡眠剤の使い方
5月下旬前ではありますが、梅雨入りしたところもあるようですね。
気温のアップダウンもありますし、体調には気をつけたいものです。
今週は睡眠剤についてのお話です。
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睡眠の障害には大きく分けて3種類あります。一つ目は、床に入って睡眠につくまでに時間がかかる場合です。二つ目は、寝付くのは良いのですが、途中でたびたび目が覚めて、目が覚めたら眠れない場合です。三つ目は早朝覚醒で、特に早く寝たわけでもないのに朝の4時頃に目が覚める場合です。
不眠の原因は様々です。普通に目がさえてしまっている不眠の場合もあるでしょうが、騒音などの睡眠を妨げる原因がある場合や夜間に起こる喘息や胸の痛みがある場合、うつ病などの精神疾患がある場合なども不眠の症状が見られます。不眠の原因によって、どんな対処が必要かを検討し、薬剤が必要な場合は睡眠を助ける薬を使用する場合があります。最近では、薬が効きにくくなってくる「耐性」が起こりにくい睡眠薬もあります。
私たち医者の間では、いわゆる睡眠剤を処方する時は、薬の効いている時間を考慮して薬を選びます。例えば寝付きが悪い場合は、飲んだらすぐ効き始めて、効果が長く持続しない薬(半減期が短い薬)を選びます。いわゆる睡眠剤は便利な反面、ふらつきが起こったり、呼吸が弱くなったりする副作用もあるので、使用に際しては自分がどのタイプの不眠なのかをご相談ください。
漢方の使い方(2)
東洋医学と西洋医学とでは薬の使い方が違っています。
漢方薬を使用するときの注意点を説明します。
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たとえば、薬店でも売っている葛根湯はよくご存じでしょう。しかし、風邪の時イコール葛根湯ではないのです。葛根湯を風邪に使う場合は、風邪の初期で、比較的体力がある人が対象となります。頭痛や発熱・悪寒があり、汗が出ない時期で背中や肩のこわばりがある人に使うと効果的です。一方、風邪の初期が過ぎて汗が出るようになり、高熱は出ないが食欲が落ちている場合には、葛根湯ではなく、別の漢方を使う必要があります。病気の時期に応じて漢方薬を使い分けるのが処方のコツです。
また、漢方薬には副作用があります。西洋薬ほど強い副作用は出ることは少ないですが、胃腸の弱い人や虚弱体質の人に葛根湯を使うとさらに食欲が落ちたりすることもあり、体力や病勢に応じて薬を使う必要があります。さらに、西洋薬との併用についても使用してはいけない漢方薬があるので注意が必要です。漢方を飲む場合はご相談ください。
漢方の使い方(1)
最近は薬店で色々な漢方薬が手に入るようになりました。
漢方薬は副作用がなくて使いやすいと思われがちですが、使い方は結構むずかしいのです。
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西洋薬は成分が単一であることがほとんどですが、漢方薬の場合は生薬の複雑な組み合わせで調合されています。
漢方薬はそもそも、複数の生薬を煎じてその汁を飲むという方法で服用されてきました。最近ではその液体を粉末状にして一回分ずつ飲みやすいように袋にいれた製品が多くなっています。
漢方薬の使い方がむずかしいのは、同じ病名や同じ症状でも様々な処方があることです。西洋医学の場合は、診断で病名がついて、その診断に基づき治療内容が決まり、薬を選択します。たとえば、咳が出て喉が痛いという症状から気管支炎という病名がついて、それにより、気管支の炎症を止める薬や咳止めの薬を処方します。
これに対して東洋医学の場合は、その人の体の状態によって効く漢方が違います。脈の強さやお腹の状態、体が充実しているかなどの判断がまず必要です。この体の状態のことを証(しょう)と言います。この証を見誤ると、漢方薬は効かないどころか副作用が現れます。
同じ風邪でも体の状態によって処方する漢方薬が違うのです。