院長の独り言

2025-07-12 11:25:00

急性肝炎について

昨日今日と涼しく、ほっと一息つけますね。今日は急性肝炎についてお話します。

急性肝炎を起こす原因の多くはウイルスです。ウイルスとしてはA型からE型までの肝炎ウイルスが急性肝炎を引き起こします。肝炎ウイルス以外のウイルスでは、EBウイルスやサイトメガロウイルスなどが肝炎を引き起こします。その他の原因としては薬剤によるものやアルコールによるものなどがあります。

急性肝炎の症状は、発熱、食欲低下、全身倦怠感、黄疸が特徴です。黄疸が出る前の症状として、発熱や食欲低下、全身倦怠感が主に見られますが、風邪の症状とそっくりのため、黄疸が出て初めて急性肝炎と気がつく場合もあります。

ウイルス性の急性肝炎ではほとんどの場合、入院をして安静と点滴、食事療法で治療を行い、1ヶ月位で治る場合が多いようです。薬剤性の肝炎やアルコール性の肝炎の場合は原因物質を中止して、肝臓を休ませることが治療の中心となります。

急性肝炎の中できわめてごくまれに、劇症肝炎といって、一気に肝不全に進行してしまう急性肝炎もあるので、治療担当の医師の指示に従うことが大切です。

2025-05-25 20:36:00

心筋梗塞とは

しばらく涼しい日が続きます。本格的な夏を前に涼んでおこうと思います。 今日は心臓についてお話します。 心臓は、血液を全身に送り出すためのポンプの役目をしています。ポンプを動かしているのは筋肉で、この心臓の筋肉のことを心筋(しんきん)と言います。 筋肉を動かすには、栄養と酸素が必要です。栄養と酸素を運ぶ血管を冠動脈(かんどうみゃく)と言います。この冠動脈が動脈硬化で狭くなり、血栓で詰まってしまうのが心筋梗塞です。ちなみに梗塞とは、血管が詰まるという意味です。 心筋梗塞の症状は、激しい胸痛・胸の圧迫感・冷汗・嘔吐などがあります。左肩に痛みが広がったり、下顎の痛みがでる場合もあります。ポンプである筋肉に栄養と酸素が途絶えますから、ポンプの働きが悪くなり、心不全が起こったり、ショックになったり、致命的な不整脈が発生したりします。 心筋梗塞になりやすい人は、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などの病気を持っている人や喫煙者です。これらの病気を持っている人は、治療に専念しましょう。禁煙も必要です。
2025-04-25 10:34:00

うつ病とは

今日は朝からどんよりした空です。にわか雨が降るところもありそうですね。

うつ病というと、一昔前は、精神科で診てもらうめずらしい病気という印象でした。最近はストレス社会で、誰もがかかることがある病気となりました。最近のうつ病の特徴はどんなものがあるのでしょうか。

 

古典的なうつ病の特徴は、繰うつ病といって、繰の状態と、うつの状態が交互に周期的に繰り返される病気です。しかし最近では、うつだけが表面にでるうつ病が多くなっています。うつ病の症状の特徴は、抑うつ気分、元気がでない、何となくだるい、食欲が出ないなどが多くみられます。症状が重くなるにつれて、考えがまったくまとまらなくなったり、自殺念慮が見られたりします。

 

うつ病の場合は、仕事がはかどらない、何となく元気がないなどの症状が見られるため、周囲の人は、つい励ましたりしがちですがこれは厳禁です。うつ病の患者さんは、頑張りたくても頑張れない状況になっていますから、励ましをすればするほど、頑張りが空回りしすぎて余計に病気を悪くします。

 

うつ病の患者さんは、必ず何らかの睡眠障害が見られます。周囲の人で気づいた人は、休養をとらせることと、専門の医師に相談するように勧めることが必要です。最近、比較的副作用の少ない使いやすい薬が出てきています。早めに治療を開始すれば、社会復帰ができる例が多いのも特徴です。

 

 

 

2025-03-05 18:00:00

ウイルス性肝炎について

肝炎を起こす原因には、肝炎ウイルスや薬剤、アルコールなどがあります。肝炎ウイルスによる肝炎について説明します。

 

肝炎ウイルスは、現在はっきりわかっている物では、A型、B型、C型、D型、E型の5種類があります。G型やTTVといったウイルスも報告されていますが、本当に肝炎ウイルスかどうか研究段階です。A型からE型までの肝炎ウイルスは大きく2種類に分けられます。

 

A型とE型は、流行性肝炎を引き起こすウイルスです。感染経路は口からウイルスが侵入し便から排出されます。汚染された水や食べ物によって感染します。一方、B型、C型、D型は血清肝炎を引き起こすウイルスです。感染経路は血液です。輸血や汚染された注射器をの使用(覚醒剤など)、出産、性交などで感染します。

 

また、流行性肝炎を起こすA型、E型肝炎ウイルスは急性肝炎しか起こしません。一方血清肝炎を起こすB型、C型、D型肝炎ウイルスは、急性肝炎も慢性肝炎も引き起こします。D型肝炎ウイルスは日本ではまれで、B型肝炎ウイルスを持っていないと感染できません。現在問題になっている肝硬変や肝癌に関係しているのは、慢性肝炎を起こすB型、C型肝炎ウイルスです。

 

 

2024-09-20 16:34:00

吸収のしくみ

消化した栄養素はどうやって吸収されるかを説明します。吸収とは、小腸の粘膜上にある栄養素が細胞内に取り込まれて毛細血管に流れていくことを意味します。

 

消化液などによって消化された栄養素は、小腸内の細胞に取り込まれるにはまだ大きすぎます。もっと分子が小さくないと小腸の細胞には入れません。しかし、これ以上栄養素を小さくする消化液は小腸液にはほとんど含まれていないことが最近わかりました。ではどこで栄養素をもっと小さくするのでしょう。

 

これは、小腸の粘膜の膜の隙間にある消化酵素によって最終的に分解されより小さい分子になって分子レベルの大きさで小腸粘膜を通過し細胞内に入ることがわかりました。これを膜消化といいます。これによって、消化と吸収を厳密に区別するのが難しくなったわけです。

 

膜消化によって、糖質は、ぶどう糖・果糖・ガラクトースに分解され、蛋白質はアミノ酸に分解され毛細血管に入り、肝臓へと運ばれます。これらの吸収は、十二指腸、空腸および回腸の上部で行われています。

 


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