院長の独り言

2023-03-17 15:19:00

花粉症のメカニズム

今日は陽もあまり射さず、ひんやりした感じです。

花粉症は春や秋の季節の変わり目にみられます。
今回は花粉症の化学的なメカニズムについて解説しましょう。


花粉症は、花粉(抗原物質)に対して特異的に反応するIgE抗体が白血球や肥満細胞に情報を伝達することで始まるアレルギー疾患です。白血球の中の好塩基球や肥満細胞の表面のIgEに花粉が付着すると、ヒスタミンやロイコトリエンといった化学物質が放出されます。ちなみに、肥満細胞とは、成熟前の好塩基球が血管外の組織に出て活動している細胞で、その性質は好塩基球とほぼ同じです。

ヒスタミンやロイコトリエンの共通した作用は、毛細血管が拡張し、粘液の分泌が促進され、知覚神経を刺激します。さらに、血管の壁の性状が変化して、血液中の水分などが血管の外に滲み出し易くなります。(血管透過性の亢進といいます)

ヒスタミンやロイコトリエンの作用によって、鼻の粘膜から粘液の分泌が多くなり、水鼻が出るようになります。鼻粘膜に分布している知覚神経を刺激して、くしゃみが出るようになります。さらに、血液中の水分などが滲出して、鼻粘膜がむくみ、鼻詰まりが起こるようになります。
この水鼻、くしゃみ、鼻詰まりは、花粉症の3大症状と言われています。

 

 

 

2023-02-26 11:04:00

たばこの害と健康法2

皆さま いかがお過ごしでしょうか。

今日は昨日のような強風はありませんが、晴天であっても。寒い一日となりそうです。

前回に続き、たばこについてお話します。

やめ方はいろいろとありますが、私がやめた方法は、まず、やめようと決心したら、たばこが残っているうちから、たばこと灰皿、ライターを捨てました。

この一箱が終わったらと思っていると、なかなかふんぎりがつきません。やめようと決心した時点が大切です。ニコチンの離脱症状の頭重感やイライラ、目が疲れるといった症状は、3日以内がつらいですが、1週間もすれば、完全にニコチンが体から抜けたという感じがわかります。たばこをのまなくてもイライラしなくなるのです。

1週間が我慢できれば、禁煙の約7割は成功したことになります。しかし、その後の心の油断で、吸い始めてしまう人が多いのも事実です。特に禁煙1か月後、3か月後、半年後、1年後がスリップしやすい時期です。お酒を飲んだりする時は気をつけましょう。

まわりから勧められないように、自分が禁煙をしたという宣言を周囲の人にすることも大切です。それから失敗しても落ち込まないこと。今度は必ず禁煙できます。1回で禁煙できた人は少ないのです。

禁断症状が強く出てしまって、禁煙がなかなか出来ない場合は、ニコチンガムなどの禁煙補助剤がありますので、ご相談ください。

最近は、処方箋なしで買える禁煙ガム(ニコチンガム)が出ています。また、ニコチンガムを使う時は、たばこは吸わないようにしましょう。ニコチンが体内に入りすぎて、中毒症状を起こす場合があります。ニコチンガムの使用方法は禁煙指導をしている医師に相談した方が安全・確実だと思います。

患者さんに「喫煙はもう時代遅れですよ」と説明したら、早速禁煙した患者さんがいました。今は喫煙がかっこ良い時代ではないのです。

2023-02-11 12:37:00

たばこの害と禁煙法1

たばこの害が言われ出してかなりになりますね。

 

たばこの害は、心臓に良くない、肺や喉に良くない、血管に良くない、歯周病の原因になる、など多数の害があります。これはみなさんがとてもよく知っていることだと思います。たばこを吸っている人の中でみても、一度は禁煙を考えたことがある人がほとんどです。だから、喫煙者もたばこは体に悪いことは感じているはずです。でもなんで簡単にやめられないのでしょうか?

 

これは、ニコチンという薬物の依存が関係しているからです。ニコチンには麻薬のような依存性があり、ニコチンの作用が体内から切れてくるとまた欲しくなって、ずっとたばこがやめられないというサイクルが起こります。

 

このサイクルを絶つためには、まず元凶であるニコチンを体内から完全に消失させることが大切ですが、イライラなどの禁断症状が強く出てしまうと、つい1本吸ってしまうということがおこります。

 

禁断症状が強く出ない場合には、体からニコチンがなくなってしばらくすれば、喫煙欲求は少なくなります。ただ、喫煙習慣は残っているので、たばこを吸う行為、口寂しい感じは残ることが多い様です。喫煙とは、こうしたニコチンによる薬物依存と喫煙習慣という2つの原因で、なかなかやめることができないわけです。

 

 

 

 

2022-12-10 08:40:00

糖尿病と血糖値

今年も残すところ、20日ほどとなり、なんとなく心せわしい年の暮れ。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

今日は糖尿病と血糖値についてのお話です。


血糖値とは、血液中のブドウ糖濃度のことです。
食事と血糖値の関係はどうなっているのでしょう。正常な場合と糖尿病の場合はどこがちがうのでしょう。

一般に、食事を取ると、糖分はすみやかに吸収されて、食後30分から1時間半後に血糖値が最高になります。しかし、血糖値が160mg/dlを越えることは通常はありません。それは、食事をして血糖値が上がりはじめると、膵臓の細胞からインスリンというホルモンが分泌されて、血糖値が上がりすぎないようになっているからです。

ところが、糖尿病のように、インスリンの分泌が悪い場合には、血糖値が160mg/dlを越えてしまいます。通常は血糖値が170~180mg/dlを越えると尿に糖がでるようになります。

インスリンは血糖値を下げるだけが本来の作用ではありません。インスリンは、からだの細胞がエネルギー源としてブドウ糖を利用するのに必要なホルモンです。糖尿病になると血管の中のブドウ糖を細胞の中に取り込めなくなってしまって、あふれてしまったブドウ糖を尿と一緒に捨ててしまっている状態なのです。糖尿病がひどくなるとやせてくるのは、細胞が栄養失調になっているからです。

糖尿病で食事療法が大切なのは、カロリーのとりすぎで血糖値が必要以上に上がって、自分の体で作っているなけなしのインスリンが無駄使いされないようにすることです。食事療法を守ることで、なけなしのインスリンの無駄使いがなくなってくれば、インスリンを作る細胞が元気を取り戻して、必要な量のインスリンを作ることができるようになってきます。

 

 

2022-11-08 22:27:00

心の健康

心の健康を考える場合に大切なのは、人間として互いに関わり合って生きていくことがスムーズにできる状態を保つことが不可欠です。


心が健康である条件は

(1)行動や考え方が柔軟であること

(2)協調性があり、社会に参加する活動力があること

(3)他人を尊敬したり愛情をもてること

(4)自分の長所短所がわかり自制心があること

(5)生活を楽しめること

と言われています。

しかし、人の成長の過程でその心の状態は人によって様々です。

この心の働きは、自我の状態が影響しています。自我は人格の形成に関係しています。一般に私たちの性格は3つの自我から成り立っています。一つは両親の自我(P)、大人の自我(A)、子供の自我(C)です。Pは親が子供に理想の姿を教えるように、人としての理想を追求する自我です。Aは周囲に気を配り、自分の置かれている環境の中で現実的にうまく適応する自我です。Pは本能的な欲求を満たしたり本能的に身を守ろうとする自我です

このP,A,Cの自我の状態がバランスよく保たれている場合はストレスとうまくつき合い、心身共に調和した生活を送ることが可能です。たとえば、Cが大きく、P,Aが小さいとわがまま人間のタイプになります。また、PがCやAよりも大きければ、過剰適応タイプとなりストレスがたまりやすい状態になってしまいます。

この分析の方法は交流分析と言います。人間関係やストレスに対処する方法として、心療内科や精神科で使われている手法です。この自我の状態を調べる方法はエゴグラムを用います。

 

 

 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ...