院長の独り言

2022-12-10 08:40:00

糖尿病と血糖値

今年も残すところ、20日ほどとなり、なんとなく心せわしい年の暮れ。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

今日は糖尿病と血糖値についてのお話です。


血糖値とは、血液中のブドウ糖濃度のことです。
食事と血糖値の関係はどうなっているのでしょう。正常な場合と糖尿病の場合はどこがちがうのでしょう。

一般に、食事を取ると、糖分はすみやかに吸収されて、食後30分から1時間半後に血糖値が最高になります。しかし、血糖値が160mg/dlを越えることは通常はありません。それは、食事をして血糖値が上がりはじめると、膵臓の細胞からインスリンというホルモンが分泌されて、血糖値が上がりすぎないようになっているからです。

ところが、糖尿病のように、インスリンの分泌が悪い場合には、血糖値が160mg/dlを越えてしまいます。通常は血糖値が170~180mg/dlを越えると尿に糖がでるようになります。

インスリンは血糖値を下げるだけが本来の作用ではありません。インスリンは、からだの細胞がエネルギー源としてブドウ糖を利用するのに必要なホルモンです。糖尿病になると血管の中のブドウ糖を細胞の中に取り込めなくなってしまって、あふれてしまったブドウ糖を尿と一緒に捨ててしまっている状態なのです。糖尿病がひどくなるとやせてくるのは、細胞が栄養失調になっているからです。

糖尿病で食事療法が大切なのは、カロリーのとりすぎで血糖値が必要以上に上がって、自分の体で作っているなけなしのインスリンが無駄使いされないようにすることです。食事療法を守ることで、なけなしのインスリンの無駄使いがなくなってくれば、インスリンを作る細胞が元気を取り戻して、必要な量のインスリンを作ることができるようになってきます。

 

 

2022-11-08 22:27:00

心の健康

心の健康を考える場合に大切なのは、人間として互いに関わり合って生きていくことがスムーズにできる状態を保つことが不可欠です。


心が健康である条件は

(1)行動や考え方が柔軟であること

(2)協調性があり、社会に参加する活動力があること

(3)他人を尊敬したり愛情をもてること

(4)自分の長所短所がわかり自制心があること

(5)生活を楽しめること

と言われています。

しかし、人の成長の過程でその心の状態は人によって様々です。

この心の働きは、自我の状態が影響しています。自我は人格の形成に関係しています。一般に私たちの性格は3つの自我から成り立っています。一つは両親の自我(P)、大人の自我(A)、子供の自我(C)です。Pは親が子供に理想の姿を教えるように、人としての理想を追求する自我です。Aは周囲に気を配り、自分の置かれている環境の中で現実的にうまく適応する自我です。Pは本能的な欲求を満たしたり本能的に身を守ろうとする自我です

このP,A,Cの自我の状態がバランスよく保たれている場合はストレスとうまくつき合い、心身共に調和した生活を送ることが可能です。たとえば、Cが大きく、P,Aが小さいとわがまま人間のタイプになります。また、PがCやAよりも大きければ、過剰適応タイプとなりストレスがたまりやすい状態になってしまいます。

この分析の方法は交流分析と言います。人間関係やストレスに対処する方法として、心療内科や精神科で使われている手法です。この自我の状態を調べる方法はエゴグラムを用います。

 

 

 

2022-10-10 08:27:00

鼻血が出るとは

鼻血が出たことがある人はいるでしょう。鼻血がたびたび出る場合は、何らかの病気がかくれていることがあります。

鼻血は正式には鼻出血(びしゅっけつ)といいます。鼻は空気の通り道です。鼻の中(鼻腔)を通ることで空気は暖められ、適度に加湿されて肺にはいるようになっています。つまり、鼻腔は毛細血管や粘液を分泌する粘膜が豊富な場所です。だから、粘膜や毛細血管が傷つくと出血が起こります。

鼻血が出たときは、腰掛けて少しうつむいた姿勢で、上から小鼻を押さえます。普通の鼻血ならば、5~10分も圧迫すれば止まります。上を向いたり、あお向けで横になると、のどの方に血液が流れて、飲みこんだりすると、気分が悪くなることがあります。後ろ首をたたいたりしますが、止血の効果はありません。


鼻血が起こる原因は、指でひっかいたりする以外では、かぜや鼻アレルギーで鼻の粘膜がただれて起こる場合や、高血圧や肝臓病、腎臓病、白血病などの内科の病気がきっかけで起こることがあります。

それ以外では、心臓病や心臓手術後などの場合でワーファリンなどの抗凝固剤(血液がかたまりにくくする薬)を飲んでいる人です。この場合は、勝手に薬を中止すると悪い医師とよく相談をしてみてください。また、鼻や副鼻腔などの病気で出血が起こることがあるので、内科の疾患を持っていない方は耳鼻科を受診するとよいでしょう。

 

 

 

2022-08-20 23:35:00

骨粗しょう症とは

みなさま、ご無沙汰いたしました。暑中お見舞い申し上げます。
今日の午前中の土砂降りには、参りました。来院される患者さんも足元はずぶぬれでいらっしゃいました。

前回の骨のお話に関連して。。
最近よく聞くことの多い病気として骨粗鬆症があります。この病気は高齢者、特に閉経後の女性に多く起こる骨の病気です。最近の高齢者の増加とともに増えていて、現在では280~380万人に及ぶと考えられています。

全身のカルシウム99%は骨にあって、骨の強さを保つのにカルシウムは必要です。カルシウムが不足すると骨がもろくなって、転んだ時に腕の骨が折れやすかったり、尻もちをついた時に背骨が潰れたりします。大腿骨が折れることも高齢者では多いようです。そのほか、ある種のホルモン剤でも骨がもろくなることがあります。

予防法は、カルシウムとビタミンDを十分に取ることと、日に当たることが必要です。また、無重力状態のように、骨に物理的な刺激が加わらないと骨からカルシウムが抜けてしまって骨がもろくなります。毎日一定の時間散歩をしたり、軽いスポーツなどを行って骨の強化をすることも重要です。

 

 

2022-06-24 15:49:00

骨は生きている

まるで梅雨明けでもしたかのような暑さとなりました。これから10日ほど軒並み30℃越えるようです。
今回は骨についてお話します。

骨は石膏のように、ほとんど変化のない物質であるような印象がありますが、人間の骨はダイナミックな新陳代謝を繰り返しています。どんな働きやしくみがあるのでしょうか?
骨の働きは、2つあります。一つは体を支える働きです。人間が重力に逆らって体を支えられるのは骨のおかげです。もう一つは、カルシウムの貯蔵庫としての働きです。体の中のカルシウムの99%は骨に蓄えられています。
古い骨は破骨(はこつ)細胞で壊されて、骨芽(こつが)細胞で新しい骨が作られます。約3年で骨が入れ替わることになります。若い成長期には壊される骨より作られる骨の量が多く、骨がしっかりしてきますが、年をとると骨が壊れる方が多くなり骨量が減少します。
骨はカルシウムとコラーゲンというたんぱく質が中心で作られています。鉄筋コンクリートにたとえると、コラーゲンが鉄筋、カルシウムがその間を埋めるセメントと考えることができます。その中に血管が通っており、破骨細胞によって骨が壊された時にカルシウムが全身に放出されます。このように生きている骨は、ダイナミックに活動しているのです。

 

 

 

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