院長の独り言

2021-05-13 16:13:00

漢方の使い方(1)

最近は薬店で色々な漢方薬が手に入るようになりました。
漢方薬は副作用がなくて使いやすいと思われがちですが、使い方は結構むずかしいのです。
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西洋薬は成分が単一であることがほとんどですが、漢方薬の場合は生薬の複雑な組み合わせで調合されています。
漢方薬はそもそも、複数の生薬を煎じてその汁を飲むという方法で服用されてきました。最近ではその液体を粉末状にして一回分ずつ飲みやすいように袋にいれた製品が多くなっています。

漢方薬の使い方がむずかしいのは、同じ病名や同じ症状でも様々な処方があることです。西洋医学の場合は、診断で病名がついて、その診断に基づき治療内容が決まり、薬を選択します。たとえば、咳が出て喉が痛いという症状から気管支炎という病名がついて、それにより、気管支の炎症を止める薬や咳止めの薬を処方します。

これに対して東洋医学の場合は、その人の体の状態によって効く漢方が違います。脈の強さやお腹の状態、体が充実しているかなどの判断がまず必要です。この体の状態のことを証(しょう)と言います。この証を見誤ると、漢方薬は効かないどころか副作用が現れます。
同じ風邪でも体の状態によって処方する漢方薬が違うのです。