院長の独り言

2024-01-15 15:21:00

貧血


よく脳貧血とか言いますよね。でもこれは正式には貧血ではありません。貧血とは、血液の中の赤血球が少なくなる状態のことなんです。貧血にはいくつかの種類があります。この種類によって治療法が違います。

赤血球は、全身に酸素を送り届ける働きがありますから、これが不足すると、疲れやすくなったり、動悸・息切れがおこったり、これが長く続けば心不全になったりします。

一番多いのが鉄欠乏による貧血です。赤血球を作るための原料となる鉄が不足しておこる貧血です。この場合は、原料となる鉄を補うことで貧血は改善できます。それから、ビタミン不足による貧血があります。ビタミンB12や葉酸といったビタミンが何らかの原因で不足して、赤血球の合成ができなくなるために貧血が起こります。

その他に、骨髄がまともな赤血球を作れなくなる白血病や再生不良性貧血、赤血球が作られたあとにすぐ壊れてしまう溶血性貧血、腎臓の働きが弱って赤血球を作り出すホルモン(エリスロポエチン)が足りなくなる腎性貧血などがあります。

2023-12-16 15:53:00

薬と食品の相互関係

今日は季節外れの暖かさで、びっくりです。

前回から引き続きお薬の服用についてお話します。

薬を飲むとき、食べ物や飲み物が、その薬の効果に影響を与えるものがあります。どういったことに注意をしたら良いのでしょうか?

薬の効果が弱められてしまう場合としては次のような場合があります。ワーファリンという血液をサラサラにする薬がありますが、ビタミンKを含む、納豆やブロッコリーなどを食べるとワーファリンの効果が弱められます。

気管支拡張剤のテオフィリンは、たばこを吸っていると効果が減ってしまいます。

一方、薬の効果が強く出てしまう場合もあります。ある種の降圧剤では、グレープフルーツジュースと一緒に内服すると、効き目が強く出過ぎてしまいます。

アルコールは、薬の吸収を促進するので注意が必要です。気管支拡張剤のテオフィリンは、コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインと構造が似ているので、コーヒーなどを飲み過ぎると動悸などの症状が強く出ることがあります。

薬局で薬をもらうときに、薬剤師に服用時の注意をよくきいて、安全に薬を使うように心がけましょう。

2023-11-25 05:19:00

薬の飲み方

まもなく師走。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

今日は処方されたお薬の飲み方についてお話します。

病院でもらった薬は、食後とか食前とか飲む時間が書いてありますね。これはどんな意味があるのでしょうか?

 

薬は普通、胃で溶けるので、胃の中に食べ物が入っている場合は吸収が悪くなるので、吸収を良くしたい薬の場合は、食前に服用します。一般に、食前とは、食事をする前20分から30分が目安となります。

 

食後に服用する場合は、胃の中に食べ物が残っているので食前に内服するよりも吸収はゆっくりとなりますが、鎮痛剤など胃に負担がかかる薬などでは、食後の服用が好ましいと考えられます。また、食後の服用は、3度の食事と関連付けてのみ忘れを防ぐ効果もあります。一般に、食後とは、食直後から30分後までに服用します。

 

食間に服用する場合は、食べ物が残っていると薬の効果が十分に発揮できない場合などです。服用する時間は、前の食事の2~3時間後です。

 

薬を飲む時は、たっぷりの量の水か湯冷ましで飲むようにしましょう。十分の量の水で飲めば、それだけ早く薬が溶けで吸収が良くなります。少ない量で飲むと、食道に薬がくっついて潰瘍などをおこしたりします。水や湯冷まし以外で飲んではいけない薬もあります。薬をもらうときは薬局で飲み方をしっかり聞きましょう。

 

 

 

 

 

 

Copyright Koyanagi Toshihiko

 

2023-08-28 17:24:00

消化のしくみ

食物中の3大栄養素は、糖質、蛋白質、脂肪です。これらはどのように体の中で消化されているのでしょう。

消化とは栄養素を体の中に取り込むために食物をある程度まで小さくする働きのことです。消化作用には、歯で噛んだりする機械的消化、消化酵素によって分解する化学的消化、消化しきれずに大腸まできた食物を腐敗・発酵させる生物学的消化の3つがあります。

ごはんやパンなどの糖質は、唾液の中のプチアリンという酵素によって、でんぷんがデキストリンや麦芽糖に分解された後、小腸の中で膵臓から分泌されるアミロプシンという酵素で本格的に消化されてしょ糖や乳糖になります。そこで小腸粘膜から吸収され毛細血管に入ります。

肉や魚などの蛋白質は、胃液の中のペプシンによって分解されて分子の小さいペプトンとなり、小腸内で膵臓から分泌されたトリプシンやキモトリプシンによってより小さいポリペプチド、オリゴペプチドになり、小腸粘膜から吸収されます。

脂肪は、小腸に至るまでほとんど消化を受けませんが、膵臓から分泌されてステアプシンによって、グリセロールと脂肪酸に分解され、小腸粘膜からリンパ管に入り、全身を回ります。

3大栄養素が小腸で消化しきれなかった場合は、大腸において腸内細菌の働きで糖質は発酵、蛋白質や脂肪は腐敗して排便に適した形まで変化した後、排出されます。大便特有のガスと臭いはこうして発生するのです。


2023-07-19 11:33:00

3大栄養素のかたちと働き

猛暑が続きますが、みなさまおかわりごさいませんか。

今回は3大栄養素についてのお話です。

3大栄養素とは、炭水化物、脂肪、たんぱく質ですよね。これらの物質の構造はどうなっていて、体の中ではどう働いているんでしょうか?

 炭水化物は、糖質とも呼ばれていて、でんぷんなどは自然界に普通に存在していますね。このでんぷんは多糖類で、単糖類が複数つながったものです。単糖類はいわゆるブドウ糖などのようにこれ以上分解することのできない糖です。

 消化吸収されるのは大部分がブドウ糖で、その他の単糖類もありますが、肝臓でブドウ糖に変換されます。肝臓や筋肉には多糖類のグリコーゲンという形で蓄えられていますが、利用される時はブドウ糖の形に変えられます。体内では主にエネルギー源として使われます。>
 脂肪は、脂肪酸を含んでいる化合物の総称です。体内ではこれらの脂肪酸はトリグリセリドやリン脂質などの形で存在していたり、再び脂肪にして体に蓄えられたりしています。

 トリグリセリドは、エネルギーの貯蔵源として働き、リン脂質は細胞の成分として働いています。また、トリグリセリドは、体内で糖に変えられたり、逆に糖がトリグリセリドに変えられたりします。エネルギー源として有効に使われるわけです。

たんぱく質の原料は、アミノ酸です。各種のアミノ酸がつながることでいろいろな種類のたんぱく質が存在します。アミノ酸が約10個以下の場合はオリゴペプチド、10個以上の場合はポリペプチドとも呼ばれます。

 小さい形で吸収されたアミノ酸は、肝臓内でいろいろな形のアミノ酸に組み替えられ、主に体の細胞の原料となります。

自分の体内で組み替えて作ることができないアミノ酸を必須アミノ酸といい、これを含んだたんぱく質を補給しなければなりません。

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