院長の独り言

2022-04-05 14:34:00

物忘れ

昨日の寒くて長い雨から一転、今日はあたたかくなっていますね。
今日は物忘れについてお話します。

だれでも年をとると物忘れがありますが、アルツハイマー病による認知症でも物忘れが出てきます。年相応の物忘れと病的な物忘れとはどこが違うのでしょうか。

年齢相応の物忘れの特徴は、まず、自覚があるということです。自分の記憶力が低下していることがわかっている場合がほとんどです。30分前の事は思い出せる場合がほとんどです。また、今日の日付や今いる場所はきちんと言える場合がほとんどです。体験の一部分のみを忘れることもあります。

これに対して病的な物忘れは、記憶力が低下していることの自覚が薄いか全くないことが少なくありません。30分前のことも忘れてしまうことがあります。今日の日付や今いる場所を思い出せないこともよくあります。体験の一部というより、体験そのものが記憶からなくなってしまう場合があります。

『ねこ』、『さくら』、『えんぴつ』の3つを覚えてください。それでは、100から7を引くといくつですか?93から7を引くといくつですか?
さて、さっき覚えた3つの物を思い出してください。病的な物忘れの時は、これが思い出せなくなります。

一般に、病院に家族が本人をつれてくる場合は病的な場合が多く、自ら進んで診察を受けにいく場合は年相応の場合です。つまり、「最近物忘れが多くなったな~」と思っていれば病的な物忘れではないかもしれません。